ラ ドル知ヱ 美ータ。


イタリア旅行記/本/ライブ/映画/アート/まちあるきetc
by kaioko
プロフィールを見る
画像一覧

モーリス・ユトリロ展


b0068541_0134835.jpgモーリス・ユトリロ展―憂愁のパリを描いた風景画家
開催期間  2010年7月10日(土)―8月25日(水)



新潟県立近代美術館、企画展「モーリス・ユトリロ展」を観にいく。ユトリロって、モンマルトル展とか、フランス近代絵画展とかでよく観るけれど、いつも1~2枚で、こんなに集積しているのを観るのは初めてだ。しかも日本初公開作品ばかりだという。印象は、雪が積もったモンマルトルの街、人影のない寒々とした白い画面・・・。そのひととなりをよく知ることもなく、意外と鮮やかな色彩の絵もあるのだということを初めて知った。


ユトリロは私生児で、その実父についてはよくわかっていない。若くしてアルコール依存症になり、その治療のため精神病院を転院しながら、多くは絵葉書をみながら街の日常風景を描き始める。
ユトリロの作品の中で最も質が高いといわれ、かつ人気もあるのは初期の「白の時代」。彼の波乱万丈な一筋縄ではいかない人生で幸運だったことは、こうして描かれた絵が早くから注目され、評価されたということ、だと思う。精神病院の中で書き溜めた絵が、たとえ後世評価されたとしても、生きている時にこそ評価されなければ、きっと母親にも見捨てられ、病院の中でひっそりと生涯を終えたことだろう。たとえ彼が生涯敬愛した母親が、彼の絵による収入で、ユトリロの幼馴染兼マネージャーと結婚し贅沢三昧、だったとしても。
やがて生活の安定した彼は「色彩の時代」へと移行していく。彼の人生に良しにつけ悪しきにつけ影響を及ぼし続けた母親の存在。みずからも絵のモデル、画家であったこの女性はだいぶ派手で破天荒な女性だったようだ。ユトリロが生涯、崇めたのはこの母親とホンモノの聖女ジャンヌ・ダルク。その愛情ゆえ、ほかの女性一般には嫌悪感を抱いていたといわれ、彼の描く絵の中の女性は悪意でいっぱいだ。
その無宗教だった母親が死んでから、彼は宗教に傾倒するようになり、作品も「白の時代」へ原点回帰していく。ただし、初期の作品に観られるような、緊張感のある白の世界とは趣が違う印象を受ける。女性嫌いだったユトリロも晩年結婚するが、その妻に絵葉書を取り上げられてしまった彼(妻は初期の絵のほうが評価が高いことを知っていたから?)は、自分自身の過去の作品や記憶で風景を描いたようだ。過去を振り返って余生を送る余裕、ある種の安定感が晩年の作品からは伝わってくる。

こうして見てくると、彼の人生というのは孤独で寂しいようであっても、常になんらかの心の拠り所がある。絵というものがその最たるものであるとして、同じ時代の画家たちが様々な対象を追求したのに対して、ユトリロは一貫して風景画だ。つまりは街の風景への愛情、憧れも彼を支えたものの一つ。母親、ジャンヌ・ダルク、妻という存在。宗教、そして酒。展覧会を通じてユトリロの描く寒々とした街角の雪の風景の中に、それらへの愛情を少し感じられるようになったかもしれない。
皺でくちゃくちゃの最晩年の彼の写真を見ると、晩年はお酒をちょいちょい飲みながら、街に想いをめぐらせながら絵を描いて、結構幸せだったのかなと思わずにはいられない。
b0068541_01735.jpg

残暑お見舞い申し上げます
(新潟県立近代美術館、敷地内にて。たくさん孵ってるヨ。 2010.8.7)
[PR]
by kaioko | 2010-08-08 00:18 | アート・美術館

最新の記事

いとうせいこう再考
at 2013-05-07 22:36
ウィーン紀行2
at 2012-11-13 07:35
ウィーン紀行
at 2012-11-13 06:47
東京スカイツリー
at 2012-06-19 21:36
パワーストーン
at 2012-03-22 21:47
定期入れ
at 2012-03-12 21:22
渋谷2012.3
at 2012-03-04 10:16
銀座2012.3
at 2012-03-04 09:54
チョコレート2012.2
at 2012-03-04 09:41
レッチェ、マテーラ写真集
at 2012-02-07 23:45

フォロー中のブログ

ブログパーツ

ファン

ブログジャンル

画像一覧