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新潟県立近代美術館(新潟・長岡)

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新潟県長岡までドライブ。
写真は途中の米山サービスエエリア展望台からのもの。

新潟県立近代美術館
土田麦僊展
平成21年9月19日から11月3日

ちょうど副館長さんが講師となり「土田麦僊人と作品」という講座が開かれていたので聴講する。スライドで麦僊の作品を出展された展覧会ごとに説明するという内容で、とても分かりやすく面白かった。しかし2時からおよそ1時間半の予定という講義は結構押してしまい、最後まで聞けなかったのが残念。

麦僊という人は佐渡の生まれで、はやくから京都に出て竹内栖鳳の門下で四条丸山派の技法を学ぶ。とても凝り性だった人のようで、例えば「三人の舞妓」という作品のために舞妓という舞妓を一部屋に集め、何枚も素描している。舞妓さんとてタダではいかないから、当然お金を払う。海外への旅費なども合わせて、相当な資金が必要になっただろう。麦僊は借金の代わりに作品を描いていた、ともいう。
「写実の美と装飾の美、その融合を目指したい」。舞妓は、それそのもので美しい対象(装飾された美)を忠実に描く(写実を描く)麦僊にとってこれ以上ない完璧な対象だったのではないだろうか。(ちなみに奥さんとなったのも舞妓さんであった。)

麦僊が目指したもう一つの融合は「東洋と西洋」である。東洋の神秘と西洋の科学、東洋の情感と西洋の理論・・・明治以来、その融合はアートの世界のみならず、日本文化の一大テーマだった。麦僊もその融合を目指して、ヨーロッパやアジアを旅している。理論や構図のみならず、麦僊は画法や素材までも西洋と東洋の融合を追求した。
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当時の日本で酷評されたという「海女」は、一部にペンティングナイフで背景を塗りつぶした部分があり、損傷が甚だしい。大胆な構図や人物のデフォルメ、海の青などはアンリ・マティスを彷彿とさせる。ほかにもゴーギャン、ルノワールなど西洋の画家の影響がみてとれる。その集大成が「湯女」であり、「舞妓林泉」であり、「大原女」()である。「大原女」は人物のポーズにはセザンヌを、背景にはルソーの影響が見られるという。

ヨーロッパに発つ前、麦僊は自ら帰国後の自分の作風について言及している。西洋からどんな影響を受けるかはわからないが、自分は「東洋的に、そうしてより古典的に」なるだろうという意味のことを。「大原女」をひとつの集大成として、麦僊は西洋から離れ、日本へと回帰していく。それはとりもなおさず、線への回帰であり、モチーフも花やら鮭の切り身やらになってくる。執拗にスケッチを重ね、これ以外ないと思わせる線と色で描かれた芥子や朝顔や山茶花から滲み出るなんともいえない優しさ、たおやかさ。自らの東洋古典回帰が分かっていた麦僊、40代で早世してしまうが、自らの命が短いことも分かっていたんじゃないだろうか。晩年の絵を観ていると、なんとなくそんな気がしてくる。


新潟県立近代美術館は、なんだか全貌がよくわからない建物である。
いつまでたっても全部が見えてこない感じ。一体入り口はいくつあるのだ。
ウラ?と思われるところにまわりこむと芝生の上にランド・アートがニョキニョキ生えていた。誘われるままに丘を登っていくと、屋上庭園と書かれた看板の先にはよく分からない構造物が夕陽を受けてこれまたニョキニョキとしていた。企画展も面白かったが常設展も驚くなかれ、の厚みのある所蔵。よくわからない建物と併せてまた観に来たいと思う。

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夕陽に輝くニョキニョキ
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by kaioko | 2009-09-27 00:17 | アート・美術館

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