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ラ ドル知ヱ 美ータ。


イタリア旅行記/本/ライブ/映画/アート/まちあるきetc
by kaioko

ネジと紙幣な純銀週間


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「ネジと紙幣」
近松門左衛門の「女殺油地獄」をベースにした現代劇。
なぜ行人は、桃子を殺さなくてはならなかったのか?
於:天王洲銀河劇場
上演時間:2時間10分位(休憩なし)


まずは花火大会の時のことから始めようか。
場面が切り替わるたび、ある人物の独白から始まる展開。しかし、ト書き的なセリフはほんの少しで、次の瞬間からセリフの応酬と激しい立ち回り。始まってすぐに、このお芝居は

脚本・演出がすごい! 

と思った。普段は脚本を意識して舞台を観ることなんてないのに。ストレートプレイということもあるが、台本をじっくり読んでみたいと思わせる作品。
そんな脚本・演出は倉持裕さん。「つかじの無我」や「時効警察」なんかを手がけている。なるほど、ちょっと変わった本を書く人だ。
まず、みんなが言いたいことを言っていて、セリフがかみ合っていない。脚本としてはこんなの失格じゃないだろうか。しかしちょっとずつベクトルの狂った言葉や行為は、そのまま放置されることなく、舞台の水面下でゆっくりと臭気を放ちながら不幸の土壌を形成していく。室内に干しっぱなしの洗濯物、氷が溶けて薄まってぬるくなった麦茶・・・高温多湿の世界の中で人々の言葉にならない念のようなものがうねっている。それらは液体が気体に変わるときの破壊力を持って、爆発する。
爆発するのは、本人さえも分からない人間というものの本性。ハンズの袋には何が入っていても不思議ではないように、銀色の水筒にホットのミルクティが入っているとはなかなか想像しにくいように・・・。

掛け時計から流れる音程のズレたイッツ・ア・スモール・ワールド・・・
-みんなそれぞれ助け合う、小さな世界
この物語の登場人物はまさに小さい世界の中で、助け合って生きているように思える。
幼馴染みへの愛、親の愛、夫婦の愛、兄弟の愛、キャバ嬢への愛・・・こんなにも愛に溢れた世界でありながら、なぜみんなで不幸の道を歩んでしまうのか。
全ては善意から発していながら、最悪の結果を迎えてしまうということは、物語の世界だけでなく、現実でもありうることで、むしろほとんどの最悪の結果は善意から発しているのかもしれない。

始まりが何かって、考える。でもその始まりにも始まりがあって、結局何が始まりなのかわからなくなる。だったら、終りを考えたほうが早い。

遂に殺人に至ってしまう行人の言葉に、こんなようなセリフがあった。
少し先の結果を冷静に見つめている人間と、「終り」のことしか考えられない人間・・・そんなときに人は人を殺すなんてことが起こるのかもしれない。

歌もダンスもないストレートプレイ初挑戦の未來くんだったが、相変わらず体からエネルギーと感情が溢れて、自らの体のサイズが小さい!と叫んでいるような演技でした。ともさかりえちゃん、細い!浴衣とかワンピースとか体の線を感じさせる衣装だったので、すごく細さが目立った。華奢な体が血にまみれる殺人のシーンは痛々しかった。顔のゆがみフェチな私にはともさかりえちゃんの顔は気になるサンプルです。好きな女優さんです。妹役の満島ひかりさん、かわいかった。この妹も曲者で、常識的なようでいてかなり歪んでいるんだよね。家族みんながひた隠しにしている感情を敏感に感じながらずっと育ってきている。自分の恋愛のことになると消極的で流れにまかされてしまう。そういうところが伝わってきた。気になる女優さんです。

追記:本日9・22は休演日で、未來くんは「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングに出演です^^
by kaioko | 2009-09-21 10:38 | 映画・演劇

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