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ラ ドル知ヱ 美ータ。


イタリア旅行記/本/ライブ/映画/アート/まちあるきetc
by kaioko
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うつせみ

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留守宅に侵入してはシャワーを浴びたり食事をしたりという行為を繰り返しながら転々と放浪生活を続けるミステリアスな青年テソク。ある時、いつものように空き家だと思い込み忍び込んだ豪邸で、テソクはその家の住人ソナに遭遇する。彼女は独占欲の強い夫によって自宅で監禁状態にあったのだった。生気がなく抜け殻のようなソナ。やがてテソクは夫に虐げられたソナの悲惨な結婚生活を目の当たりにすると、彼女を屋敷から連れ出してしまう。そして、ソナと2人で留守宅を転々とするようになるのだったが…。
★★★☆


鬼才キム・ギドク監督作品。原題は「空き家」、これはストーリーの通りなのだが、このタイトルではやはり味気ない。英題はなぜか「3-Iron」・・・三番アイアン?確かにキーアイテムではあるけれど・・・懐かしのドラマ「プロゴルファー祈子」を思い出した。
それはさておき、邦題の「うつせみ」。韓国映画の邦題には秀逸なものが多いと思う(イタリア映画の邦題とは大違い)中で、これは作品のレベルをもひとつ格上げさせてしまうような邦題である。うつせみ・・・劇中の二人が転々とする空き家のことでもあり、抜け殻のように生きる女ソナのことでもあり、二人が生きる世界そのもののことでもあり・・・なにより「うつせみ」という切なげで、儚げな響きが良い。(因みにDVDジャケットは韓国版(↑)の方が良い。)

さて、内容はというと、同監督作品「春夏秋冬・・・そして春」のように、登場人物が限られていて、かつセリフがほとんどない。なによりも独特の世界観。この話にしても、住居不法侵入カップルの話と言えば言え、他にもツッコミどころは満載なのだが、そこを破綻させないのが、「映画は映画だ」という作品まで作ってしまったキム監督のファンタジーである。一歩間違うと「世にも奇妙な物語」の最後のエピソードにありがちなファンタジーの世界であるが、やはりこの監督独特の映像美がその独特の世界にどっぷりはまらせてくれる。
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by kaioko | 2011-01-17 22:03 | 映画・演劇

このどうしようもなくシーバルロマな美しい世界

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偶然の出会い、それは最低最悪の出会い。でも、そこから運命が動きはじめた。「家族」という逃れられないしがらみの中で生きてきた二人。父への怒りと憎しみを抱いて社会の底辺で生きる男サンフンと、傷ついた心をかくした勝気な女子高生ヨニ。歳は離れているものの、互いに理由もなく惹かれあった。ある日、漢江の岸辺で、心を傷だらけにした二人の魂は結びつく。それは今まで見えなかった明日へのきっかけになるはずだった。★★★★★

思えば、去年の年始は韓国映画にハマリ、立て続けにDVDを観て過ごしたのだった。この「息もできない」も去年の夏、映画館で観た作品。去年の夏のうだるような暑さの中、重い足取りで映画館を出たのを思い出す。観客にも無呼吸を強いる映画。
キネマ旬報、昨年度外国映画部門第1位。韓国からは、どうして観客一人ひとりの頭を殴りつけるような強烈な作品がどんどんと生まれてくるのだろう。監督、脚本、そして主演をこなしたヤン・イクチュンのような才能が次から次へと現れるのは何故なのだろうか・・・。

「家族の問題」が難しいのは、それらが他の誰とも共有できないこと、かといって自分では関係性が変えられないこと、他者との関係性の中では全く違ったものになりうること、だ。
自分では恨み、憎しみの対象でしかない父親であっても、父親がいない人は「父親がいるだけでいい」と思うだろうし、「孫」にとっては優しくて弱いおじいちゃんだったりするかもしれない。
だから、家族の問題に向き合うには、関係性は変わらないのだから、自分の感情を変えるしかない・・・そのためには外に出て、違う立場で家族を見つめなおしてみること・・・が大切なのかもしれない。サンフンの「韓国の父親はサイテーだ」発言や、ヨニの父親がベトナム戦争の帰還兵であることを考えると、前世代から受け取った負債が描かれているようにも思え、それらが複雑に絡み合った「どうしようもなさ」が生むまさにこの作品の「息もできない」閉塞感は圧倒的だ。そんな中「他の誰とも共有できない」悲しみや苦しみを抱えた二人はは外に出て、出会い、訳もなく引かれ合う。そこには家族の問題を越えた普遍的な悲しみや苦しみの共鳴があるように思う。
因みに「シーバルロマ」はこの作品中何回も登場するキタナイ言葉。韓国語が分からなくても覚えてしまう。そんなキタナイ世界とは裏腹の美しいシーンが印象的。
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by kaioko | 2011-01-12 22:01 | 映画・演劇

SYMPATHY FOR MR.VENGEANCE

復讐者に憐れみを デラックス版 [DVD]

 ★★★★ 聴覚障害者のリュは、重い腎臓病をわずらう姉のため、臓器密売組織を訪れるが、全財産を巻き上げられた上、自らの腎臓まで盗られてしまう。恋人で“革命的無政府主義者同盟”のヨンミは、「正しい理由のための誘拐なら犯罪ではない」と、身代金目的の誘拐を提案する。



パク・チャヌク監督復讐三部作の第一作、「復讐者に憐れみを」。三部作はこれで「親切なクムジャさん」→「オールド・ボーイ」→そして本作、と公開年を遡る形で全作を観る。どの作品とも鮮烈なバイオレンスで大出血サービス状態。だが、クムジャさんがバイオレンスにファンタジー、オールド・ボーイがバイオレンスにエンタテインメントであるならば、本作「復讐者」はよりリアルでソリッドなバイオレンスだ。まさに裸のバイオレンス。裸といえば、ペ・ドゥナが無防備に裸体をさらけ出しているところなどもある意味暴力だ。ペ・ドゥナといえば、先日の日本アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされた時のインタビューで、「共演してみたい日本の俳優は?」と聞かれ、

カガワテルユキサン・・・

と答えていたのが可愛かった。香川さんは(「剣岳」にかけて)「一緒に山に登ろう!」と答えたが、若干スペっていた。しかし、これはますます、パク監督(ポン・ジュノ監督でも可)にメガホンを取ってもらい、是非共演を実現させてほしい。もちろんガンちゃんも交えて。
このDVD、特典も豊富で特に絵コンテ集が良い。後の作品にも見られる監督のアイディアが凝縮されていて、見ごたえがある。パク監督の独特の映像美から色彩が抜けて、より原点が浮き上がる感じ。

ほえる犬は噛まない [DVD]

タキ・コーポレーション★★★☆


もう一つ、ペ・ドゥナ出演作品。かなりブラックなストーリーをコミカルな作品にしてしまう、ポン・ジュノ監督の鬼才っぷりが発揮されている初期作品。黄色いパーカーをスッポリとかぶった新しいヒーローを演じるペ・ドゥナが衝撃的。
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by kaioko | 2010-04-29 16:33 | 映画・演劇

You’re my sunshine

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ユア・マイ・サンシャイン(2005)★★★☆パク・チンピョ監督、ファン・ジョンミン、チョン・ドヨン、ソ・ジュヒ
ソクチュンは、農村で母親と暮らす36歳の独身男性。夢は自分の牧場を持つことと、幸せな家庭を築くこと。ある日、コーヒーショップに勤めるウナに一目ぼれし、猛アタック。ソクチュンは自分と釣り合わないと感じながらも、愛される喜びに目覚めたウナは、彼との結婚を決める。幸せな日々を送っていたが。

長い。「起承転結」の「起承」が長い感じだ。すなわち農村で働くソクチュンが、喫茶店で働くウナに一目ぼれし、猛烈アタックを経て、結ばれるまで。「転」は確かに訪れるが、実話に基づくというストーリーはなんとなく先が読めてしまう。これは無難に☆三つかな。しかし、「結」となるに至って、ソクチュンとウナ、それぞれの人物や環境や、二人の恋愛が前半に丁寧に描かれていたのが、きいてくる。後半、二人を支えたものが何かも伝わってくるのだ。そして、涙でぐしゃぐしゃに。
だいたいファン・ジョンミン演じるソクチュンが最初本当に田舎の農場の独身おじさんという感じで全く冴えないのだが、だんだんと格好いい「おにいちゃん」になってくる。「シークレット・サンシャイン」でヒロインを演じた「サンシャイン」女優、チョン・ドヨンは、まだ幼い感じでかわいいのに、「シークレット~」よりも色気があって、暗い過去を持った陰のある女性という役柄がとても似合う。
原題は「君は僕の運命」。人は、自分が不幸になると分かっていても、誰かを愛することは意外にたやすくできるのだろう。しかし、自分といることで、相手が不幸になるかもしれないと知ったとき、その人から離れていく勇気を持てるかどうか。引くことが本当の愛なのか、それでも貫くことが愛なのか。愛し合うものがその愛情の岐路に立たされたとき、思い悩む姿がとても痛々しい。
テーマ曲の、「You’re my sunshine」が牧歌的に優しく響く。挿入曲の「オッパ♪~」という歌詞もとても心地よい響きで心に残る。
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by kaioko | 2010-02-13 17:40 | 映画・演劇

韓国映画にハマる。

HOT CHILI PAPER Vol.55(DVD付)

エイチ・シー・ピー
まさかこの「HOT CHILI PAPER」(韓国映画・ドラマ情報誌)を買う日が来ようとは・・・。この号の特集「今こそ観ておきたい韓国映画55本」を参考に片っ端から観ています。


年末に劇場で観た「母なる証明」が面白くて、ちょっと近年にないくらい衝撃的だったので、年始からどっぷり浸かってしまった韓国映画。
以下公開年順、★は私のお気に入り度、あらすじ。

クワイエット・ファミリー(1998) ★★ キム・ジウン監督、パク・イナン、ソン・ガンホ、チェ・ミンシク
ソウル郊外でペンションを開くことになった6人家族。開業早々だというのに客足はさっぱり。ようやく訪れた第一の客は謎の自殺を遂げる。噂になったら誰もこなくなると死体を処理した家族だが、第二、第三の客も次々に死んでいき・・・。
JSA(2000) ★★★★ パク・チャヌク監督、イ・ビョンホン、ソン・ガンホ、イ・ヨンエ
朝鮮半島を南北に分けた境界線に位置する共同警備区域(Joint Security Area)で起こった武力衝突事件。捜査を進める監視委員会の女性将校ソフィは、生き残った両国の兵士から事情聴取を進めるうちに、南と北で証言がまったく相反していることに悩む。そして、事件の核心に迫るにつれ、両国の兵士の間に信じがたい事実があったことを知る。
公共の敵(2002) ★★ カン・ウソク監督、ソル・ギョング、イ・ソンジェ、カン・シニル
チョルジュン(ソル・ギョング)は、問題ばかり起こすアウトロー刑事。その雨の夜も、張り込み中に黒いレインコートの男と喧嘩し、ナイフで目許を切り裂かれてしまう。一週間後、同じ地区で刃物で滅多刺しにされた老夫婦の死体が発見された。
オールド・ボーイ(2003) ★★★★ パク・チャヌク監督、チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン
理由も分からないまま15年間も監禁されていた男オ・デス。突然解放された彼の前に謎の男ウジンが出現、5日間で彼が監禁された理由を解き明かせと迫る。
春夏秋冬そして春(2003) ★★★☆ キム・ギドク監督、オ・ヨンス、キム・ヨンミン、ソ・ジェギョン、ハ・ヨジン
物語の舞台となるのは、森を深く分け入った先の湖上に浮かぶ古寺。この神秘的な佇まいの寺を背景に、人間の一生が四季の移ろいに重ね合わせられながら描かれる。
殺人の追憶(2003) ★★★★★ ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ、キム・サンギョン、パク・ヘイル
86年、ソウル近郊の農村で、同じ手口による若い女性の惨殺事件が連続して発生。地元の刑事パク・トゥマンとソウル市警から派遣された刑事ソ・テユンは対立しながらも捜査を続け、有力な容疑者を捕らえるのだが。
大統領の理髪師(2004) ★★★☆ イム・チャンサン監督、ソン・ガンホ、ムン・ソリ、リュ・ユンス
軍事政権下の1960年代初頭から1970年代末までの韓国。理髪店を営む男が、激動の時代に翻弄されながらも、家族と共に明るく、たくましく生き抜いていく姿がコミカルに描かれる。
親切なクムジャさん(2005) ★★★ パク・チャヌク監督、イ・ヨンエ、チェ・ミンシク、オ・ダルス
「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」に続くパク・チャヌク監督の“復讐3部作”完結編。クムジャは、幼い娘を人質にとられて自分がやっていない幼児誘拐殺人の罪を認め、13年間服役することに。彼女は刑務所で誰にでもやさしく接して“親切なクムジャさん”と呼ばれるようになるが。
母なる証明(2009) ★★★★★ ポン・ジュノ監督、ウォンビン、キム・ヘジャ
静かな町に起こった凄惨な女子高生殺人事件。ある男が事件の容疑者として身柄を拘束される。その母親は息子の無罪を信じ、冤罪を晴らすべく奔走する――。
シークレット・サンシャイン(2007) ★★★★ イ・チャンドン監督、チョン・ドヨン、ソン・ガンホ、チョ・ヨンジン
夫を亡くし、生きる希望を失っていた32歳のシネは、夫の故郷の地方都市ミリャン(密陽)でピアノ教室を開いて新たなスタートを誓う。だが、ミリャンでも彼女を新たな悲劇が襲い……。
映画は映画だ(2008) ★★★☆ チャン・フン監督、ソ・ジソブ、カン・ジファン、ホン・スヒョン
高慢で暴力的な映画俳優スタは、新作アクション映画の撮影現場でファイトシーンの相手役を殴り大怪我させてしまう。新たな相手役が見つからず困ったスタは、かつて映画俳優を目指していたというヤクザ、ガンペに出演を依頼するが……。
チェイサー(2008) ★★★★★ ナ・ホンジン監督、ハ・ジョンウ、キム・ユンソク、ソ・ヨンヒ 
04年に韓国で実際に起きた連続殺人事件をベースに、殺人犯と元刑事の追跡劇を緊張感たっぷりに描き出した犯罪スリラー。元刑事ジュンホが経営する風俗店から、女たちが相次いで失踪を遂げる。やがて店の客だった青年ヨンミンが容疑者として逮捕されるが。

圧倒的に面白かったのは、「殺人の追憶」、「チェイサー」。「母なる証明」も含めて、全部殺人事件(しかも2本は実際にあった事件)がベースになっている。「チェイサー」なんかは、まるでヨーロッパ映画のような暗さの中で、本当に救いようのないストーリーが展開されて、見終わった後のなんともいえない気分は「ダンサーインザダーク」とか、「セブン」を彷彿とさせた。
あと、「最も真実から遠そうに見える人物が一番真実に近い」、という「人はみかけによらない」という考え。そして、警察とか公共の立場の人間や群集というものに対する不信感のようなもの、がいずれの映画にも描かれていた気がする。

「公共の敵」も元刑事対冷酷な殺人犯の対決を描いた映画。元刑事の破天荒さと、犯人の冷酷さがどちらも極端すぎる気はするけれど、韓国映画の描写の徹底した過激さを味わうにはいい映画。

パク・チャヌク監督の作品もしかり。復讐三部作といわれている作品の後のほうの二本、「オールド・ボーイ」、「親切なクムジャさん」を鑑賞。「オールド・ボーイ」はカンヌでクエンティン・タランティーノが絶賛したというのが深く頷ける、男性版「キル・ビル」。ただこの監督の映画は、過激ではあるけれど、どこかファンタジックで映像が綺麗。クムジャさんはファッショナブルで綺麗で、復讐シーンの凄惨さがより際立って、ちょっと怖かった。

映像の綺麗さでいうと、「春夏秋冬そして春」、が印象的。山奥の自然を背景に人間の欲望や執着が淡々と、かつ生々しく描かれ、生きることの意味を問う。

俳優でいうとなんといっても、上の作品のうちちょい役も含めて6作品に出演しているソン・ガンホ。「JSA」の北朝鮮兵士役、「シークレット・サンシャイン」でちょっと情けないながら、微妙な距離から主人公の女性を見つめる男性の役・・・シリアスからコメディから、いい人から、悪い奴から、キレ者や、天然っぽい役まで、存在感がある。あと、「映画は映画だ」のソ・ジソブ。やさくれ感がちょっと斉藤和義さんっぽい。落ち目の俳優が共演相手に俳優志望のヤクザを選ぶという突拍子のないストーリー。そのリアリティのなさが「映画は映画だ」、すなわち「現実は現実だ」という反語的なこの映画のテーマを際立たせてもいる。

韓国というとドラマのほうの印象が強くて、今まで食わず嫌いだった韓国映画が、こんなにも熱く、骨太で、刺激的な映画シーンだったなんて知らなかった。決してひとくくりにできない厚みと深みの中に、半島で生きてきた民族の底知れぬパワーを感じる。
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by kaioko | 2010-01-31 23:28 | 映画・演劇

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