ラ ドル知ヱ 美ータ。


イタリア旅行記/本/ライブ/映画/アート/まちあるきetc
by kaioko
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シチリア!シチリア!

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待望のトルナトーレ監督の最新作は、彼の人生の大いなる転機から生まれた。2007年にローマで暴漢に襲われ、生死の境をさまようという事件に見舞われたのだ。晴れて回復したのち、あらためて生きる喜びを実感したトルナトーレ監督が、今一度シチリアを舞台に人生の素晴らしさを描ききったのが、『シチリア!シチリア!』である。さらに、“ペッピーノ”はジュゼッペの愛称なのだが、自分と同じ名前の少年を主人公にしていることからも分かるように、これはトルナトーレ監督自身の半生、そして彼の父親の人生をも投影した物語なのだ。ついにトルナトーレ監督が、自らの原点であるシチリアに帰ってきたのだ──

トルナトーレ監督の「シチリア!シチリア!」を観て来ました。
原題の「BAARìA」はシチリアのパレルモ近郊の田舎町・・・探して見ると地図上にそんな街ないよ・・・実は、地図上ではバゲリアという街名なのだと知る。劇中に人とも怪物ともつかない異形の像が飾られた建物が出てきたのを思い出し、バゲリアのパタゴニア荘というのが、どこかに出てきたな、とやっと思い当たる。
主人公は反マフィアの共産党員という設定で、シチリアの街マフィアが作った街という一面も描かれ、良くも悪くもシチリアの歴史や社会にはやはりマフィアが深く関係しているのだなと思う。
「ニューシネマパラダイス」が映画へのオマージュ、「海の上のピアニスト」が音楽へのオマージュなら、この「シチリア!シチリア!」は故郷、故国へのオマージュ。過去と未来が交錯し、トルナトーレらしいファンタジックな仕掛けもあり、気負いなく自由に作られた作品という感じがする。
しかし、撮影はさすがに大掛かりだが・・・。
ルイジ・ロカーショはどこ?・・・「!?」っていう、意外な役で出演してます。
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by kaioko | 2011-06-13 21:40 | 映画・演劇

イタリア映画祭2011

今年も行ってきました。ゴールデンウィーク恒例のイタリア映画祭。今年で11回目、私は2005年から数えて6回目の参加となりました。この映画祭で観たイタリア映画はおそらく30本以上・・・。イタリア映画も日本公開になったり、DVD化したりしていますが、まとめて最新の作品が観られる機会があるのは本当に贅沢で嬉しい。今年のラインナップはこちら。

『はじめての大切なもの』“La Prima Cosa Bella(The First Beautiful Thing)”
(2010/伊)
『アルデンテな男たち』“Mine Vaganti(Loose Canntons)”(2010/伊)
『ぼくたちの生活』“La Nostra Vita(Our Life)”(2010/伊・仏) 
『星の子どもたち』“Figli delle stelle”(2010)
『ラ・パッショーネ』“La Passione”(2010/伊)
『われわれは信じていた』“Noi Credevamo(We Believed)”(2010/伊・仏) 
『キスを叶えて』“I baci mai dati(Lost Kisses)”(2010/伊)
『初任地にて』“Il Primo Incarico”(2010/伊) 
『穏やかな暮らし』“Una vita tranquilla(A Quiet Life)”(2010/伊・独・仏) 
『ロバの美』“La bellezza del somaro”(2010/伊)
『最後のキス』“L'ultimo bacio(The Last Kiss)”(2001/伊) 
『もう一度キスを』“Baciami Ancora(Kiss Me Again)”(2010/伊・仏) 


『最後のキス』だけちょっと昔の作品なのは続編『もう一度キスを』が公開されるから。そのわりには2作品観るのは難しいプログラムの組み方である気がします。イタリア統一150年の今年、『われわれは信じていた』を観るべきかと思いましたが、初日から170分の大作を観るのはちょっと疲れちゃうかな、と思いまして今回はパスしました。震災の影響でイタリアから来日ゲストは来ず。座談会も中止となりましたが、チャリティ上映としてエルマンノ・オルミ監督の『ポー川のひかり』(百本の釘)が上映されたようです。29日には4本観ましたが、全て当日券まで売り切れていました。でも作品も含め、例年よりちょっと落ち着いた映画祭だったかなと思いました。観たのは次の6作品。星は私のお気に入り度、6作品の相対評価ということで。

『はじめての大切なもの』★★★★
『星の子どもたち』★★
『ラ・パッショーネ』★★★★☆
『ロバの美』★★☆
『アルデンテな男たち』★★★★★
『ぼくたちの生活』 

最後の『ぼくたちの生活』は、楽しみにしていた作品で3日の昼すぎに観たのですが、眠くて眠くて半分寝ながら観てしまったため、採点不能、エリオ・ジェルマーノ君、ゴメン!『星の子どもたち』、『ロバの美』は好きな俳優・女優さんがでていたので、期待していたのですが、いまひとつ盛り上がりに欠けました。

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『はじめての大切なもの』“La Prima Cosa Bella”(2010/伊) 
監督:パオロ・ヴィルツィ
物語:ブルーノは、ミラノの学校で文学を教えている中年男性で、自分の不幸な人生にうんざりしていた。そんな彼は、妹ヴァレリアに母が癌で余命いくばくもないという連絡を受けて、トスカーナ地方にある故郷リヴォルノに帰省する。彼は、ここで、過去と対峙し、これまでの関係を修復することに決める……。 

パオロ・ヴィルツィ作品は、『向かいの窓』『N-私とナポレオン』『見わたすかぎり人生』と観ていますが、音楽が効果的に使われていて痛快でスカッとする作品が多い気がします。この作品はイタリア版「嫌われ松子の一生」、という感じ。子供の視点から母アンナの過去と現在が交互に描かれていきます。過去のアンナと現在のアンナは違う女優さんが演じているのですが、どちらも自由奔放を絵に描いたようで、特に現在アンナを演じたステファニア・サンドレッリが最期まで人生を楽しみつくしている感じがすごく良かったです。髪をジャキジャキ切られてしまう妹ヴァレリアの子ども時代が可愛い。母親の血を確実に受け継いでいるかに見える成人ヴァレリア(クラヴディア・パンドルフィ)に対して天然情けない顔の父(イル・ネージ)と息子(ヴァレリオ・マスタンドレア)の面々もいい味出してる。

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『アルデンテな男たち』“Mine Vaganti(Loose Canntons)”(2010/伊) 
監督:フェルザン・オズペテク
物語:カントーネ家は、イタリアのパーリアで、パスタ工場を営んでいる。今日は、長男のアントニオが工場を引き継ぐのを記念して、家族みんなで集まって食事会をすることになっている。弟のトンマーゾは、この機会に、自分がゲイであることをみんなに告白して楽になろうと考えていたが…。

この映画の原題「Mine Vaganti」は直訳すると「漂流する機雷」。「何をしでかすかわからない人」、「危なっかしい人」の喩え。でも邦題が「危険分子」だとなんだかサスペンス映画みたいなので、老舗パスタ会社が舞台ということもあり、「アルデンテな男たち」(映画祭での仮題)やら「あしたのパスタはアルデンテ」(この邦題で日本公開)というタイトルになってしまっている。でもこの作品はまさに「危険分子」の映画で、主人公トンマーゾの他にも危なっかしい人たちがたくさんいるし、その誰もがいつでも暴発しそうな危険な性質を抱えている。キーパーソンは祖母である。危険分子たちの中に祖母の遺伝子が確実に引き継がれていることを発見するのも、ほかの危険分子と化学反応する様を見るのも面白い。祖母の「人の望む人生なんてつまらない。何が自分の幸せなのかを考えなさい」という言葉がずっしり響く。トンマーゾが何が自分の幸せなのか悩み、考えて、ひとつの結論に辿りつく姿は感動します。回想の中で花嫁が南イタリアの路地を歩く場面には、同じ監督の「聖なる心」のラストシーンを思い出しました。

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『ラ・パッショーネ』“La Passione”(2010/伊) 
監督:カルロ・マッツァクラーティ
物語:ジャンニは、かつては期待の俊英監督と言われたが、これといった実績も残せないまま、今はもう50歳になっている。今度の映画がラスト・チャンスだとわかっているから、精一杯張り切るが、バカげた要求を飲まされたり、理不尽な妥協をさせられたり、あるいは、トスカーナに建てている家に問題が起こったりで、心の休まる暇はなく、映画は思い通りの方向にはまるで進まない……。

出たな、名優ジジイ。ということで、シルヴィオ・オルランドとジュゼッペ・バティストンがコンビの映画で面白くないわけがない、と期待が高まります。今回の映画祭の中では一番コメディ色が強いかな。期待どおり笑えて、少しジーンとくる作品。
シルヴィオのもう居るだけで笑えてしまう存在感と、体格そのものに存在感のあるジュゼッペ・バティストン、個性の強すぎる町の人々、ジャンニの創作欲(妄想?)を刺激するポーランド女性と人気女優(クリスティリアーナ・カポドンティ、可愛い!)と、豪華な面々。面白かったです。キリストの復活劇がテーマになっているので、日本公開は難しいか。
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by kaioko | 2011-05-03 14:21 | 映画・演劇

湖のほとりで

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イタリア/2007年
原題:
「La ragazza del lago」
原作:
「見知らぬ男の視線」

北イタリアのとある小さな村の湖のほとりで、村の少女のアンナの死体が発見された。刑事のサンツィオは捜査のために村人を調べて回るのだが、その過程で村中の家庭がそれぞれ様々な問題を抱えていることがわかる。


「決して好転はしない現実とどう向き合っていくか」

殺人とは一見無縁そうな小さなイタリアの町。「殺人とは一見無縁そうな」、場所というのはないのかもしれない。「あの真面目で、いつも明るく挨拶してくれる人が」、実は殺人者であるように。
殺人者でなくても、人は見かけによらなかったり、人に言えない悩みを抱えていたりする。刑事のサンツィオは、事件を追っていくうちに様々な人間とその悩みを知ることになるが、自らも悩みを抱えている。町、家族、その閉じられた空間の中で、決して好転はしないと分かっている現実。家庭、恋愛、病。ある者は、それを抱えきれず暴発させ、ある者はそれを静かに受け入れ、ある者はかすかな光に希望を託すのかもしれない。
原作はノルウェイのカリン・フォッスムという作家の「見知らぬ男の視線」という作品らしい。原作でもはもっとサスペンス的要素が強いのだろうか。映画では、舞台もイタリアの小さな町に移り、湖とアンナの美しさがとても印象的に映った。2007年のイタリア映画祭で上映された「まなざしの長さをはかって」を思い出したけれど、この作品のほうが後味は良かったように思う。
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by kaioko | 2010-07-18 16:19 | 映画・演劇

Ex(「元カレ/カノ」)

Ex(「元カレ/カノ」)
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転勤で国を越えた遠距離恋愛になってしまうカップル、離婚するにあたってお互いに子供の親権を放棄しようとする夫妻、元恋人をあきらめきれず、新しい恋人が出来ようものなら脅迫して別れさせようとする警官、結婚間近なのに、今は神父のかつての最愛の恋人に出会ってしまったスーパーの店員など、問題を抱えた様々な年齢のカップルや夫婦の6つのエピソードが絶妙に織り交ぜられながら、愛の素晴らしさが歌い上げられる。

「恋愛マニュアル」も4組のカップルのオムニバス映画だったが、これは六組のカップルのお話。タイトルの「Ex」はラテン語で“fuori”を表し、「前の、元の」という意味があり、ずばり「元カレ/カノ」という意味。「元カレ/カノ」って、ここ10年くらいの間に定着した言葉だと思うけど、うまい訳語があって良かったというべきか。この語が造語され定着したのは、「元カレ/カノ」に戻るという人が意外と多いということの証左なのだろうか。
「恋愛マニュアル」と同じように、日本公開されれば、日本人にもすんなり受け入れられるであろう上質のコメディであります。とにかく、笑えて、ちょっと泣ける。脅迫ストーカー男×愛猫家、セクシーボム名優じじいが最高だ。
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by kaioko | 2010-05-05 22:43 | 映画・演劇

Cosmonauta(「コズモナウタ-宇宙飛行士」)

鑑賞三日目(5月4日)
この日は2本を鑑賞。「コズモナウタ」は期待以上に良かった。「Ex」は期待どおり面白かった。

Cosmonauta(「コズモナウタ-宇宙飛行士」)
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1950、60年代、風変わりでてんかんの持病のある兄アルトゥ-ロと大胆で活発な妹ルチャーナは、共産主義を信奉し、コズモナウタ(ソ連の宇宙飛行士)に憧れる仲の良い子供だった。だが、異性の目が気になる10代半ばという年頃になった妹は、兄から距離を取り始める。

コズモナウタはソ連の宇宙飛行士、アストロノーツはアメリカの宇宙飛行士。共産主義を信奉するルチャーナにとってはもちろん宇宙飛行士=コズモナウタだ。ソ連とアメリカが競いあって、宇宙というフロンティアを開拓していた時代。それは多分に政治的なものであり、軍事競争であり、華やかさの裏に多くの犠牲があったことは、例えば宇宙飛行士たちのインタビューを収録したルポタージュ「宇宙からの帰還」を読むとよく分かる。あるいは、宇宙で命を落とすことが運命として決まっていたライカ犬の悲しい瞳-「Vincere」と同じく、実際の映像が差し込まれる本作。
中でも鮮烈なのは、物語の終盤に突如として挟み込まれる「ヤーチャイカ!」という女性の声。これは、ソ連の女性宇宙飛行士ヴァレンチーナ・ヴラヂーミロヴナ・テレシュコーヴァが、1963年に宇宙船ヴォストーク6号で女性で初の宇宙飛行を果たした際、使用したコールサインで、意味は「私はかもめ」。コールサインだから、実際にはたんに「こちら《チャイカ》、どうぞ」というような実務上の呼びかけであるが、チェーホフの小説のセリフに引用されているということからも分かるように、この言葉の響きにはロシア人の特別な叙情が含まれているようである。「ヤーチャイカ」、初の女性としての宇宙飛行という喜びと興奮、そして宇宙でのいいようのない孤独感と悲しみの全てがこの短いコールサインの中に含まれているような気がする。宇宙で悠々とだが孤独にさまよう一羽のかもめ。「地球は青かった」というあまりにも有名なガガーリンの言葉とはまた違った強烈さで、現代に生きる私の心に響く。
ルチャーナは若者の共産主義のグループに所属し、そこでも学校でも家庭でもさまざまな衝突を経験する。それらの衝突はルチャーナ自身の未熟さゆえでもあり、また当時の女性がまだまだ社会で力を持ちえなかったことにも起因する。監督はこの映画で「イデオロギーというものがいかに個人を圧迫するか」ということを描きたかったといっているが、ルチャーナもイデオロギーを持ちながら、結局はイデオロギーそのものと闘った一人の女の子だ。純粋な憧れのみをもって空を見つめる兄の存在は、同時代の良心を象徴しているのかもしれない。
こちらも見終わったあと、どこか清々しく、空をみつめたくなる作品。ロックを中心とした音楽も痛快で良い。
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by kaioko | 2010-05-05 22:41 | 映画・演劇

Tutta colpa di Giuda(「それもこれもユダのせい」)

Tutta colpa di Giuda(「それもこれもユダのせい」) 
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前衛劇のディレクターである若きイレーナは、刑務所の教誨師の依頼を受けて、収容者とキリストの受難劇を上演することになる。だが、そこには思わぬ落とし穴があった。誰も裏切り者のユダを演じたがらないのだ。果たして、イレーナは劇を上演することができるのだろうか…。
『トリノ、24時からの恋人たち』では、トリノに実在する映画博物館の中での恋愛を。今作では、刑務所(まぎれもない現実)の中で演劇(虚構の世界)を。こうした、現実と虚構の入り組んだ舞台設定で、物語を作り上げるのが本当に独創的でうまい。また若い女性の前衛演出家を通した、新しい宗教解釈が新鮮。実際の刑務所で撮影された映像とのことだが、息苦しさや重苦しさ、暗い雰囲気を感じさせないのがすごい。カーシャ・ズブトニアクがイレーナのちょっと野暮ったい可愛さをうまく演じている。修道女役のルチャーナ・リィティツェットの存在も美味しい。
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by kaioko | 2010-05-05 22:36 | 映画・演劇

Vincere(「勝利を」)

Vincere(「勝利を」)
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イタリアに独裁政権を築いたベニート・ムッソリーニに対して、彼の正妻であることを求め続けた女性イーダの半生を、巨匠ベロッキオが緊迫感に満ちた映像でたどる。熱心な社会主義者だったが、ファシストに転向するムッソリーニ。イーダは、全財産を投げ打って支援し、身も捧げ長男を産む。しかし、他に正妻と長女がいたムッソリーニは、彼女を遠ざけていくのだった

歴史は勝者のものである。敗者の真実は伝えられない。まして、敗者に抹殺されてしまった者は、歴史の表舞台には決して上がってこない。
ベロッキオ監督自身も、イーダの存在を知らなかったという。しかし、「夜よ、こんにちは。」で実際の史実をテロリストの側、しかも女性の視点で描いたように、今回もまさに違う視点から一人の女性の半生を鮮やかに描ききっている。教皇や裁判官にまで手紙を書き続け、それを病院の柵に登って投げる姿は狂気としかいいようがないが、観客は彼女がただ真実を訴えているだけなのだと知っているから、その強さに圧倒される。
ジョヴァンナ・メッジョルノ、名前とは裏腹にその三白眼は真夜中の闇の中で輝く。ムッソリーニを演じた、フィリッポ・ティーミは「重なりあう時」にも出ていたが、どこか知性を感じさせる俳優であるのに、ムッソリーニの動物的な、どちらかというと知性の抜け落ちた感じをよく演じていたかな、という気がした。ただし、イーダと成長したムッソリーニの息子の狂気の前には、やや霞みざるを得ないか。
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by kaioko | 2010-05-05 22:26 | 映画・演劇

Lo spazio bianco(「まっさらな光のもとで」)

Lo spazio bianco(「まっさらな光のもとで」)
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女性のコメンチーニ監督が、マルゲリータ・ブイを主演に迎え、母であることをテーマに据えた作品。離婚後は、教師として働き独立して暮らしてきた30代後半のマリア。期せずして妊娠するが、彼氏は出産を望まないので、シングルマザーとして生きていくことを決意する。しかし、妊娠6ヶ月で出産。マリアに出来るのは、保育器の中に入った赤ちゃんを毎日見守ることだけだった。

この作品はもう「ただ『待つ』という行為の尊さ」につきる。タイトルの「Lo spazio bianco」は、「まっさらな光のもとで」という邦題がついているけれど、母親と未熟児しかいない部屋の「白い空間」と、ただ願い、待つことだけを強いられる「空白の時間」というダブル・ミーニングだろう。
妊娠して病室に運ばれる最中に、「生まれてもすぐに死ぬか、生きても重い障害が残るか、そのまま生きるか、わからない」といわれるなんて。赤ちゃんが、自分で呼吸をするのを待つ、自分が母親になれるかなれないかを待つ、そんな「空白の時間」をどんな思いで過ごしたらいいのか。マルゲリータ・ブイはイタリア的マンマの強さではなくて、もっと普遍的な母の強さを真摯に演じている。
彼女は言わずもがな、「重なりあう時」のクセニア・ラパポルトにしても、「勝利を」のジョバンナ・メッジョルノにしても女優の潔さというか、覚悟みたいなものが感じられ圧倒される。日本の女優さんは平均してみんなキレイで、逆に違和感が感じられて、作品に入り込めないことがあるのは私だけか。
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by kaioko | 2010-05-05 22:24 | 映画・演劇

La doppia ora(「重なりあう時」)

鑑賞二日目(5月3日)
この日は4本の作品を鑑賞しました。期せずして、4本とも女性が主人公で、全く違う作品ながらいずれも女性の強さ、したたかさを見せつける作品ばかりでした。

La doppia ora(「重なりあう時」)
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ホテルで清掃係として働くスロベニア移民のソニアと、元警察官で今はガードマンのグイド。カップリング・パーティーで知り合った二人は、すぐに恋に落ちる。ある日、グイドは仕事場の別荘にソニアを誘うが、そこで二人の人生を一転させる事件が起きてしまう。

フリーランスのカメラマンで、雑誌の写真の撮影などを手がけてきたカポトンティ監督。生粋の映画人というわけではない監督の長編第一作とのことで、ちょっと異色な作品という印象を受ける。異質な空気をスチール写真のように切り取って繋げて見せているというか。画の妙、リズムが感じられる作品で、ストーリーそのもののパラレル感が伝わってくる。
主人公のクセニア・ラパポルト、「題名のない子守唄」といい、謎めいた女性の役が本当にうまいなぁと思う。
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by kaioko | 2010-05-05 22:20 | 映画・演劇

Questione di cuore(「ハートの問題」)

鑑賞一日目(5月2日)
イタリア映画祭も今年で10年目。サプライズには欠けていたように思いますが、二日だけ大坂での開催があるそうで、もっと全国でイタリア映画が観られるようになると映画祭の意義も増すと思います。今年は何作に配給会社が見つかるでしょうか。

Questione di cuore(「ハートの問題」)
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脚本家として功を成したが、一匹狼でおしゃべりなアルベルト。自動車修理工場を経営し、堅実で家庭を大事にするアンジェロ。人生が交わることが無さそうな二人は、共に心臓発作を起こし、たまたま同じ集中治療室に運び込まれる。意外にも意気投合した二人は、退院してからも友達として付き合うようになる。

-他人の人生に本当に深く関わるとはどういうことか。

アルベルトは脚本家として一応の成功は収めたが、生死の間をさまよい、恋人とも別れ、「生きる力」が弱まっている。脚本家であるアルベルトにとって「生きる力」とは、「物語を作る力」そのものだ。彼にとって、例えば「なぜ結婚しないのか?」という問いは、歯の痛み程度でしかない。病に倒れる前のアルベルトは、いわばその程度の問いしか発さない人間関係の中で生きてきた。得意のおしゃべりで心のバランスをとってきたのだろう。恋人だけが、本当の彼を見つめようとしていたのに気がつかずに。
しかし、アルベルトはアンジェロやその家族たちと関わることによってゆっくりと自分らしさを取り戻していく。最初はとまどうが、夫であるアンジェロを、そしてアルベルトを理解しようとする妻。多感で反発ばかりするが、ゆっくりと心を開いていく娘。そして、アルベルトはアンジェロの息子に「ある人間を観察し、想像力を働かせ、問いを発して、解を得る」・・・人を真に理解する方法を「伝授」する。それは積極的に人間に関わっていく技術だ。
たまたま同じ病室で、いきなり自分の名前を呼んだアルベルトにアンジェロは他人の人生に-自分自身の人生に深く関わっていく人間だと、直感で理解したのかもしれない。
観終わった後、とても清々しくなれる作品。

病室の場面で、思わぬ豪華なゲスト出演があったのにびっくり。イタリア映画ファンにはうれしいサプライズ。
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by kaioko | 2010-05-05 22:16 | 映画・演劇

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