ラ ドル知ヱ 美ータ。
ナポリ:煉獄の魂 Anime del Purgatonio
さてスパッカナポリの路地ではなによりも洗濯物が一番目につくのだけれど、ひっそりと隠れるように、でもかなりの数のマリアやキリストの絵や像が生花とともに祀られているのに気がつく。
ローマやヴェネツィアにも同じように路地の要所要所にこれらのものを目にすることができるのだけれど、やはり都市ごとに特徴があるのが面白い。
まずローマは比較的新しい時代のものが多い気がする。そして路地というよりは、割と大きな交差点の角など公共の場に向けられているものが多く、位置も高いものが多い。
ヴェネツィアはもっと庶民に近くなるイメージ。花が生けられ美しく飾られて、でもどこか慎ましい。置かれている場所は絶妙に目に入る場所、路地の突き当たりだとか、橋の前とか、トンネル(ソットポルテゴ)の入り口とか。そして、やはりマリア信仰の都市、圧倒的にマリアの像が多い。
そしてナポリはというと、置かれている場所も、花が生けられていたりしているところもヴェネツイアに近い。けれどもナポリのそれは、さらに個の空間に近い。
色鮮やかな南国風の花々で飾られているものが多い。こちらはソットポルテゴの入り口。トンネルの中にあるバージョンもある。
洗濯物と無数の落書きとともに、宗教的な絵画や像がある。どちらもスパッカナポリに住む人々にはかかせないもの。こういうごちゃ混ぜな雰囲気こそナポリ。
なんというか、仏壇の前に故人の写真や、形見や、お菓子やいろいろなものが置いてある感じに近い。絵画の上にはだいたい庇がついているものが多いのだけど、それがトタンみたいなボロボロの庇だったり、ネオンで像を囲ってあったりするのもナポリらしいというか・・・。マリアだけでなく、同じくらいキリストのものが多いし、聖母子だけでなく、聖父子や聖人のものもあったりと種類が多いのも特徴的。
そしてこんなナポリの祠の特徴の最たるものが、「煉獄の魂(Anime del Purgatonio)」だ。
なるほど、祠の下にもう一つガラス張りのニッチがあり、その中にキリストとキリストを取り巻く人々の像があるものがある。
そして、確かに個人(はおそらく故人でもある)の写真が祠に飾られているものがあった。
ニッチといい、故人の写真といい近くで撮影することは控えたのだけれど、結構な数を見た。
日本でも仏壇や仏壇のある部屋などに写真を飾ることはあるけれど、それはあくまで室内だし、そこに願いをかけるという意識はない。外に故人の写真が飾ってあるというのは、初めて見る光景でとても不思議なものだった。
ナポリの人々はこの写真の前を通るとき、故人の幸せを祈り、そして今現世に在る自分や家族の幸せを祈っているのだ。
さらにこの煉獄の炎は、プレゼビオの伝統とも関係していると思われる。
プレゼビオとは、主にキリストの生誕の場面を人形によって表現したもの。ナポリにはプレゼビオや人形の工房が多く、教会でもプレゼビオが見られるところがある。
ナポリをみて死ねというが、ヌオーヴォ城から見る海だけがナポリではない、と思う。
落書きや洗濯物に埋もれた庶民の信心深さもまたナポリではないだろうか。
お断り:今回デジカメを最低の画質レベルに設定して撮ってしまい(ということに帰ってきてから気づき・・・)、ちょっとみにくいかもしれません・・・。雰囲気をつかんでいただけたらうれしいです
ローマやヴェネツィアにも同じように路地の要所要所にこれらのものを目にすることができるのだけれど、やはり都市ごとに特徴があるのが面白い。
まずローマは比較的新しい時代のものが多い気がする。そして路地というよりは、割と大きな交差点の角など公共の場に向けられているものが多く、位置も高いものが多い。
ヴェネツィアはもっと庶民に近くなるイメージ。花が生けられ美しく飾られて、でもどこか慎ましい。置かれている場所は絶妙に目に入る場所、路地の突き当たりだとか、橋の前とか、トンネル(ソットポルテゴ)の入り口とか。そして、やはりマリア信仰の都市、圧倒的にマリアの像が多い。
そしてナポリはというと、置かれている場所も、花が生けられていたりしているところもヴェネツイアに近い。けれどもナポリのそれは、さらに個の空間に近い。
色鮮やかな南国風の花々で飾られているものが多い。こちらはソットポルテゴの入り口。トンネルの中にあるバージョンもある。
洗濯物と無数の落書きとともに、宗教的な絵画や像がある。どちらもスパッカナポリに住む人々にはかかせないもの。こういうごちゃ混ぜな雰囲気こそナポリ。
なんというか、仏壇の前に故人の写真や、形見や、お菓子やいろいろなものが置いてある感じに近い。絵画の上にはだいたい庇がついているものが多いのだけど、それがトタンみたいなボロボロの庇だったり、ネオンで像を囲ってあったりするのもナポリらしいというか・・・。マリアだけでなく、同じくらいキリストのものが多いし、聖母子だけでなく、聖父子や聖人のものもあったりと種類が多いのも特徴的。
そしてこんなナポリの祠の特徴の最たるものが、「煉獄の魂(Anime del Purgatonio)」だ。
ナポリの人々の信心深さは、町を歩いていても、実感できる。道路沿いの壁に、マリアや聖人を祀った祠が数多く分布する。これはイタリアの他の町にも共通するが、ナポリではその下に「煉獄の魂(Anime del Purgatonio)」とよばれるニッチ(壁に穿たれた象徴的な窪み)状の小さな祠が作られていることがよくある。「死者の文化」を象徴するこの町ならではのものだ。下半身を炎に包まれた素焼きの小さな人物像が、十字架のキリストを半円形に囲む形式をとる。普通、若い男と女、老人、司祭が手をつなぐように並ぶ。霊魂を象徴するこれらの像の脇に、葬儀の写真が収められている。故人が天国に昇るのを待つべく、親族がその写真を煉獄に置いているのである。ところが、ナポリでは、それが同時にさまざまな願いをこめる願掛けの意味をもったという。民衆にとっては、人生において悪魔を払い、幸運を呼び込むのに故人の力が心の支えとなったのだ。
-陣内秀信 「南イタリアへ!地中海都市と文化の旅」 講談社現代新書
なるほど、祠の下にもう一つガラス張りのニッチがあり、その中にキリストとキリストを取り巻く人々の像があるものがある。
そして、確かに個人(はおそらく故人でもある)の写真が祠に飾られているものがあった。
ニッチといい、故人の写真といい近くで撮影することは控えたのだけれど、結構な数を見た。
日本でも仏壇や仏壇のある部屋などに写真を飾ることはあるけれど、それはあくまで室内だし、そこに願いをかけるという意識はない。外に故人の写真が飾ってあるというのは、初めて見る光景でとても不思議なものだった。
ナポリの人々はこの写真の前を通るとき、故人の幸せを祈り、そして今現世に在る自分や家族の幸せを祈っているのだ。
さらにこの煉獄の炎は、プレゼビオの伝統とも関係していると思われる。
プレゼビオとは、主にキリストの生誕の場面を人形によって表現したもの。ナポリにはプレゼビオや人形の工房が多く、教会でもプレゼビオが見られるところがある。
ナポリをみて死ねというが、ヌオーヴォ城から見る海だけがナポリではない、と思う。
落書きや洗濯物に埋もれた庶民の信心深さもまたナポリではないだろうか。
お断り:今回デジカメを最低の画質レベルに設定して撮ってしまい(ということに帰ってきてから気づき・・・)、ちょっとみにくいかもしれません・・・。雰囲気をつかんでいただけたらうれしいです
by kaioko
| 2007-02-27 22:10
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