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ラ ドル知ヱ 美ータ。


イタリア旅行記/本/ライブ/映画/アート/まちあるきetc
by kaioko

春風の小布施をゆく

小布施町にいってきました。
すっかり有名な観光地になった小布施ですが、近いこともあって何回も足を運んでしまいます。

古くは六斎市を起源とする交易都市として栄えた小布施町。物資集散の拠点として豪農、豪商が繁栄を誇り、また葛飾北斎をはじめ、多くの文人を惹きつけた町です。

まず向かったのは、曹洞宗岩松院(がんしょういん)。
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葛飾北斎の天井画、「八方睨み鳳凰図」がある。
北斎89歳(没前年)のこの作品は、畳21畳分にも及ぶ大作。
以前は仰向けに寝っころがって見たこの作品も、今ではより振動を与えないように、静かに坐って鑑賞するように変わっている。


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その名の通り、どこに居ても鳳凰に睨まれている感じがする。
大胆な構図のなかには、隠れ富士が書き込まれているというが、さて。
しかしいくら観光スポットとはいえ、券売機とくりかえされる御堂内アナウンスがやや興ざめか。
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遠くにまだ雪を頂く山の峰々を見ながら、しかし足元には確実に春が蠢いているようだ。
やや観光地化してしまった感はあるけれど、ちょっと路地を入れば、小布施は歩いていて気持ちのいい町だ。でも、この地が昔から人を惹き付けるのはそれだけじゃないと思う。

次に北斎館へ向かう。
小布施の中心にある、このややモダンな建物の中には北斎の肉筆画が納められている。中でも、絶筆に近いといわれる「富士越龍」は小品ながら凄まじい迫力を感じさせる。
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【Dragon flying over Mount Fuji】
そこには自らの生年とともに、「九十老人卍」の文字が。
(北斎は約30の画号を持ち、30の落款を持っていたと言われ、「卍」は最晩年の画号。)
その迫力を生んでいるのは、死を前にした生への執着か、あるいは死の悟りか。

春風の小布施をゆく_b0068541_21392043.jpg
さらに車を少し南に走らせる。
カナダ聖教会のサナトリウムであった新生病院礼拝堂

昭和7年に設立されたサナトリウム(結核患者のための療養施設)で、礼拝堂の入り口には初代所長のスタート博士のレリーフが立てられている。
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周りを取り囲むツタの葉はさすがに冬枯れしていたが、今ももちろん開放され、礼拝が行われている。

ここではキリスト教精神によるホスピタリティが徹底されていたらしいが、治療を受けるというよりも、ひっそりとたたずむこのサナトリウムの中で患者達はNew Lifeを見つけていたのかもしれない。

入り口のステンドグラス。一番下には長野名産のリンゴと小布施名産の栗が見える。




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窓辺の祈り。









人々が行き交い、物資と通貨がやり取りされ、多くの神社寺社が点在し、芸術家が集い、今も観光地としてにぎわう小布施。
生のエネルギーとともに、どこか死の香りを感じさせる地でもある。
by kaioko | 2006-03-25 22:01 | 日記・雑記

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