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ラ ドル知ヱ 美ータ。


イタリア旅行記/本/ライブ/映画/アート/まちあるきetc
by kaioko

Vincere(「勝利を」)

Vincere(「勝利を」)
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イタリアに独裁政権を築いたベニート・ムッソリーニに対して、彼の正妻であることを求め続けた女性イーダの半生を、巨匠ベロッキオが緊迫感に満ちた映像でたどる。熱心な社会主義者だったが、ファシストに転向するムッソリーニ。イーダは、全財産を投げ打って支援し、身も捧げ長男を産む。しかし、他に正妻と長女がいたムッソリーニは、彼女を遠ざけていくのだった

歴史は勝者のものである。敗者の真実は伝えられない。まして、敗者に抹殺されてしまった者は、歴史の表舞台には決して上がってこない。
ベロッキオ監督自身も、イーダの存在を知らなかったという。しかし、「夜よ、こんにちは。」で実際の史実をテロリストの側、しかも女性の視点で描いたように、今回もまさに違う視点から一人の女性の半生を鮮やかに描ききっている。教皇や裁判官にまで手紙を書き続け、それを病院の柵に登って投げる姿は狂気としかいいようがないが、観客は彼女がただ真実を訴えているだけなのだと知っているから、その強さに圧倒される。
ジョヴァンナ・メッジョルノ、名前とは裏腹にその三白眼は真夜中の闇の中で輝く。ムッソリーニを演じた、フィリッポ・ティーミは「重なりあう時」にも出ていたが、どこか知性を感じさせる俳優であるのに、ムッソリーニの動物的な、どちらかというと知性の抜け落ちた感じをよく演じていたかな、という気がした。ただし、イーダと成長したムッソリーニの息子の狂気の前には、やや霞みざるを得ないか。
by kaioko | 2010-05-05 22:26 | 映画・演劇

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